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●定期借家権制度の導入

貸家や事務所ビルなどの契約期間が終了すると、その目的建物から必ず退去して明け渡すことを約束する賃貸契約を「定期借家権」契約といい、「定期借地権」と同じく借地借家制度に導入する方向が固められたのである。

●制度導入への動きと理由

平成三年の借地、借家制度の見直しの際に、借地について「定期借地権」制度が導入されたが、借家については、「定期借家制度」制度は見直されず、基本的には従来の借家制度は維持されたのである。この制度が維持されていたのでは、良質な民間賃貸住宅の供給は促されない、との意見が自民党や一部の経済学者から唱えられ、「定期借地権」制度と同じく、「定期借家権」制度を導入することによって、欧米に比較して家賃が高くて狭い貧弱な住宅事情の解消を目指すべきとの問題提起がなされたが、有力な反対意見にもかかわらず、具体的な政治日程にのぼってきて、改正案として浮上しきた背景がある。

バブル経済の崩壊、金融ビッグバン、そしてグローバルスタンダードなど、欧米に追従しなければならないと動き出した日本の政治、経済の動向のひとつとして、この「定期借家制度」問題も政治日程にのぼってきたものととらえる必要がある。

●定期借家制度の狙い

自民党など与党は、この制度を導入する狙いとして、欧米に比較して家賃が高く狭いという現在の日本の借家制度の改善を目的とする法改正であるという。この制度の導入を熱心に唱えたのは法学者の分野のものではなく、経済学者の分野の人々であって、いわゆる経済効率の面から、現行の借家制度では投資意欲がわいてこない、と説くのである。これまで、いわゆる「正当事由」の壁にはばまれて、容易に借家の明け渡しを受けられなかったことが、貸主の投資意欲を失わしめ、その結果、日本の借家制度は、家賃が高く、居住面積が狭くなったというのである。

「借家制度」が導入されれば、約束された一定の期間の到来によって、借家人が必ず明け渡しをして、貸主は効率のよい貸家を維持することができ、その結果、借り手にも良質の借家の恩恵が与えられるということになるのだろうか。この点については未知数である。

●借家人保護と改正案のポイント

確かに、現行の借家制度にあっては、一定の期間が到来しても、原則として契約は更新されて、貸主が希望しても「正当事由」という壁にはばまれて、借家人の退去、明け渡しは、とうてい実現しないという現実があったから、貸主の投資意欲は全くといっていいほど生じなかった。これは反面、借家人は手厚く保護され、また貸主の都合によって借家人の明け渡しを望むときは、高額な立退料を支払わなければならない事が当たり前のなっていたほど、貸主、借主の立場はいびつであった。契約の当事者は、原則として対等でなければならす、それを前提とするときには、借家人の保護も従来のあり方を修正する必要があるとの意見も、あながち無理とはいえない。

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